=====================
 とある小さなカジート商人。
=====================


朝日を背負いホワイトランの門を潜ると、冷気が鼻孔を刺してくる。
まだ空の色は夜の名残が滲んでいるかのように薄暗い。

私は門を開けてくれた衛兵に軽い挨拶をし、曲がりくねった道を進んで行く。
そしてホワイトラン入り口から二つ目の門を潜ろうとした時、どこかの物陰から声が聞こえた。
 「ああ、まいった。まいったなあ、本当に」
濁りの雑じったその声音は、種族独自の喉からによるものだ。
私はすぐにその声の主がカジートであると理解した。
ScreenShot78
街中で見かける子供と同じくらいの背丈に、樽のような丸い体型。
砂の民のカジートにしては特異な出で立ちの彼に思わず私は足を止める。
すると彼も私の視線に気が付いたようで、側によってきて口を開いた。
ScreenShot79
 「カジートは本当にまいっている。遠路遥々この街にきたのに、同族の僅かな匂いしか残っていない。ここに来ればカジートと同じカジート商人と会えると聞いていたのに」

あの高い山々を越えてわざわざだぞ、と付け加える。
彼の話を聞くと、スカイリムでの商売で一山当てたいと思い、この地に来たのだと言う。
しかし街道には山賊達が蔓延り、上空にはドラゴンが舞う時勢に、一人で商売するのは危険すぎると判断した。
そこで、先だってスカイリムに商人として生きる同族を求めて、ホワイトランまで来たらしい。

 「カジートはとても困っている。同族の匂いを辿るにも、薄くてよく解らない。これじゃあいつまで経っても同族に会えないぞ」

私は彼に、近辺の人々に尋ねて廻るよう薦めた。
だが彼は首を振り、
 「それは無理だ。カジートは嫌われている。誰も答えてくれないに決まってる。だから困っているんだ」
と、頭を抱える。

ならば、と私は彼に提案した。
 『私が代わりに聞いてみよう。あなたは隣でそれを聞けばいい』
彼は二つ返事で頷いてくれた。

ScreenShot80
早朝のため、聞き込みできる対象もたかが知れているが、まずは
『ホワイトランの馬屋』 に留まっていた御者に尋ねてみた。
御者は、明け方にはホワイトランに来ていたが、カジート商人達の姿は見なかったと言う。
私達は御者に礼を一つ述べ 『ホニングブリューハチミツ酒醸造所』 の先にある橋の衛兵に聞き込みをしてみた。
ScreenShot82
 「カジートキャラバン? ああ、昨晩荷物を纏めている姿を見たな。確か今度は西の方へと向かうとか言っていたぞ」
有力な情報を聞かせてくれた衛兵に、私は礼と共に頭を下げ、地図を広げる。

ScreenShot81
しばしの黙考。

 「行き場所が解るのか?」
沈黙に耐えかねたのか、彼が尋ねてきた。
 『おそらくソリチュードに向かったのではないか』
私の推測だけの言葉だったが、それでも彼は子供のように喜んだ。

ScreenShot84
 『ソリチュードは遠い。険しい道のりになると思うが、大丈夫かな?』
私の掛けた言葉の意味を理解した彼は、
 「ああ、平気だとも。凍てつく風に震えるヒゲも、お前となら喜びで踊るさ!」
と、爽やかな言い回しで返す。

ScreenShot86
 「そうだ、カジートはまだ名前を言ってなかった。カジートの名は『ムダール』だ。 よろしく頼むよ、友よ」

まだ昇り途中の朝日を今度は二人で背負って、歩き始めた。


=================================

■ 次頁 ■ 《 ムダールと共に目指すはソリチュード。

■ 前頁 ■ 《 気さくな好漢、ショウエイとの出会い。

■ 目次 ■

――――――――――――――――――――――――――――
↓↓ UKC01 Barrel porter  ↓↓
http://www.nexusmods.com/skyrim/mods/34112/?

↓↓ 作者様によるブログ記事はこちらです  ↓↓
http://dragonporn.ldblog.jp/archives/7011078.html