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 ムダールと共に目指すはソリチュード。
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突き抜けるような青空。まさに快晴。
私は相棒となったムダールに、この旅は急ぐのかどうか、今更ながら尋ねてみた。
彼は、首を横に振る。
まあ、当てもなく同族を探し回るような彼だ。
私と同様、なかなかに酔狂なのだろう。
ScreenShot87
 「ずいぶんと寒そうな塔だ」
ドラゴンの襲撃で崩落した『西の監視塔』を見て、ぽつりと呟く。
私は彼に、この塔はドラゴンの襲撃によって破壊された事を教えてみた。
 「なるほど。つまり穴だらけにしないといけないくらい火を吹かれたんだな。気の毒な話だ」
ムダールもドラゴンはキライだ、と付け加える。

カジートの言葉は馬鹿げていると一言で捨てる人間も居るだろうが、私は彼の言葉がとても哲学的に思え、侮蔑を交えた揶揄ではなく、実に愉快だと感じた。

ScreenShot89
街道を歩いていると、道中を行脚するカジートとすれ違った。
 「ムアイクだ。ムアイクはムアイクだから、ずっとムアイクだ。おしまい」
 「カジートはムダール。ムダールもムダール。気を付けてな」
不思議な言い回しだが、これで交流が成り立っているのか?
だがお互いにとっては、それ以上の言葉は不要らしい。
立ち尽くす私を、ムダールが急かす。
私はムアイクと名乗った旅のカジートに会釈もしないまま、別れる事となった。

カジートがカジートたる所以と言うのは、この不思議な価値観と感性からによるものだろう。
およそ私のような凡人には到底理解できない次元だ。

ScreenShot90
ホールドの境界を示すバナーが風に揺られる。
 「往来に旗を置くのはどこも同じだな。倒れたら解らないのによくやる」
ムダールは同意を求めるかのように私へと視線を移す。
私は、
 『人は何かを定めたがるものだよ。特に見えない物には』
と、彼に言葉を返す。
すると彼は神妙に眉を顰めて考え込み、
 「深いな」
と頷き、ヒゲを揺らす。
ScreenShot91
ソリチュードに向かうには様々な村々を越えていかねばならない。
幸いにして、私達が歩いている街道には傭兵や衛兵が通行する事はあっても、山賊等の賊に出会うことはなかった。
 「敵が来れば、臭いで解る」
ムダールは自分の鼻を指して、私を励ますかのように言った。
スカイリムを一人で旅して来たと言う程の男ならば、その鼻は確かなものなのだろう。

そしてムダールの自慢の鼻は、敵とはまた違ったものを捉えた。
それは街道から外れたところに聳え立つ石柱。
傾き始めた陽に照らされ、悠々とした佇まいのそれは、どこか悲哀を帯びているかのように映る。
ScreenShot92
 「これはなんだろう?」
ムダールは首を傾げ、私の方を見やる。
 『グジュカールの記念碑、だよ。およそ百年前、ここは大きな戦場となった。辺りはグジュカールから遠征に来た兵士達の死体で埋め尽くされたらしい。これは、その兵士達に対する慰霊碑だよ』
歴史書で齧った程度の浅い知識で、彼に説明する。
 「そうか……兵士は大変だな。必死に戦っても誰も誉めちゃくれない。こんな石の棒で安らかに眠れと言われても納得できないだろうな」
顎を撫でながら、半ば呆れた様子で呟くムダール。
 『人は見えない物に何かを定めるのが好きなんだよ』
と、私は返す。
 「深いな」
ムダールは一瞬あぐねた末に、そう答えた。
ScreenShot93
私達は記念碑に手を触れる。

 「石は、やっぱり石だな」
 『そうだね。とても冷たい』

もし今の私達の会話を聞くものが居たとしたら、一体どう受け取るだろう?

そんな考えが、ふと過ぎった。



ScreenShot95
 「村が見えてきたな」
地平に沈み行く太陽の先には『ロリクステッド』の村が見える。
私達は風と共に運ばれてくる土の香りを感じながら、村へと足を向けて行った。


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